京都市立芸術大学にて「チェキ日記」展を開催します。
これは、吉田が2009年から現在に至るまで「チェキ」で1日1枚、家族の何でもない日常を撮り続けている
シリーズです。
撮られた写真は「月光荘」というスケッチブックに日付と短いコメントとともに記録され、ひと月に
一冊出来上がる極私的な家族アルバムです。
今回、この写真日記を研究対象として京都市立芸術大学・芸術資源センターとともに実験的な展示を行います。
一般の方のご来場は限定しての展示になりますが、ご興味ありましたら是非観覧お申し込みください。
以下、詳細文になります。

このたび芸術資源研究センターでは、有限会社松本工房と共催で、写真家の吉田亮人氏による対話と展示の実験「チェキ日記」を開催します。
吉田亮人(よしだ・あきひと)氏は1980年生まれ。京都市在住の写真家で、その作品は国内外で展示・出版されており、高い評価を受けています。
本研究会では、吉田氏が写真家としてデビューする以前から、現在に至るまで撮り続けている膨大な量の家族写真に着目します。2009年からほぼ毎日、1日1枚「チェキ」フィルムで撮影された写真は、ひとつひとつに日付と短いことばが添えられ、同じ月光荘製のスケッチブックに収められています。ひと月で1冊分になるアルバムは今や百冊以上までに増え、現在もこの活動が続いています。
このアルバムはもともと家族写真なので、発表することも、他人に見せるつもりもなかったと吉田氏は言います。それはいずれ大きくなる子供たちへのプレゼントであり、あくまでプライベートなものでした。けれども、12年間におよぶごく日常的な家族の風景を記録した写真を見ていると、それは徐々に、ある種の普遍性をおびたものとして見えてきます。きわめてプライベートで、私的なコンテキストに埋め込まれた記録である他者の家族写真が、なぜか一枚一枚、この上なく貴重な、いとおしいものとして見えてくるのです。
今回の研究会で考えてみたいことは、大きく分けてふたつあります。ひとつは、この記録/作品がもつ独特の魅力についてです。写真は《それは=かつて=あった》ことを伝えるものだと言われます。「誰かを写真に撮り、それを後で見る」という行為の連続体である「チェキ日記」には、いま目の前にある光景を忘れないための記憶装置としての写真の本質が、シンプルな形式で凝縮されているように思えてなりません。「チェキ日記」について考えることによって、わたしたちは、デジタルカメラによる写真について、他者の記憶と個々人の関係について、さらには、「記憶を呼び起こす」という行為と記録をアーカイブするメディアとの関係について、多くの示唆を得ることになると思います。
第二に、この記録/作品を広く世に出すための方法についてです。「チェキ日記」は、百冊以上のアルバムに貼られた、それぞれが「此性」をもつ写真によって構成されています。したがって、多数のプリント写真をアルバムをめくりながら見ることによってこそ、鑑賞行為が成立します。
しかしこのことは、多くの人が直接手にとって感じるような展示形態がきわめて難しいことを意味します。では「チェキ日記」には、どのような展示-鑑賞形態がふさわしいのでしょうか。また、今後「チェキ日記」を出版するとしたときにも、数千ページの写真集にすればこの作品の良さは伝わるかもしれませんが、現実的にそれはきわめて困難です。では、どのようなかたちであれば、「チェキ日記」はその魅力を維持した「本」になりうるのでしょうか。この問いは、そもそも「オリジナル・プリント」とは何か、そして「写真集」とは何かという問いに、そして再び「アーカイブするメディア」についての問いに接続されていくでしょう。
今回の研究会は、展示と議論の二部構成になります。まず8月24日から6日間、芸術資源研究センターの横にあるギャラリースペースで、オリジナルのアルバム全冊の展示はもとより、複製・拡大プリント・映像投影・展開掲示などの実験を試みながら、作品を公開します。つぎに、展示の終盤に行われる研究会では、吉田氏の写真集『THE ABSENCE OF TWO』(2019)のブックデザインを担当し、かねてより「チェキ日記」に着目してきた、グラフィックデザイナーで出版社も運営している松本久木氏を迎えて、この作品の意味と、この作品を展示/出版するための方法について、対話の場を設けます。
ぜひご参加ください。

第35回アーカイブ研究会:吉田亮人「チェキ日記」
展示日程:2021年8月24日(火)~8月29日(日)
研究会日程:8月28日(土)午後2時~
会場:京都市立芸術大学 小ギャラリー(展示)および芸術資源研究センター(研究会)
主催:京都市立芸術大学 芸術資源研究センター、有限会社松本工房
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